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わかりやすい個別指導塾の「わかりやすい」とは?

先日、こんな記事を読んだ。

togetter.com

 

 

 

これは、本当にあるある。

 

私自身、個別指導塾で働いていた経験もあるので、

非常に共感できる部分が多い。

 

 

勉強の苦手な生徒たちが言う『教え方が上手な先生』とは

次のような指導方法のことである。

 

 

「私はピアノが弾けます」の英作文問題にて

生徒:先生この問題がわかりませんー。

先生:オッケー!まず、私はだから I だよね。

生徒:うん。

先生:次に〜できるだからcanが来るでしょ。

生徒:うん。

先生:そして弾くはplayだよね。

生徒:うん。

先生:そしてピアノは楽器だからtheをつけてthe pianoだね。

生徒:うん。

先生:それを並べてごらん!

生徒:I can play the piano.

先生:ほらできた!

生徒:うわー!すごい!先生わかりやすい〜!

 

 

ツッコミどころ満載だが、

こういった指導方法が勉強の苦手な生徒にはウケる。

 

 

いくつかツッコミどころを見ていこうと思う。

まず全てにおいて、先生が先に答えを言っているだけで、

生徒はうん。と頷けば良い指導になっている。

 

自分で考えることをさせない指導は

勉強が苦手な生徒からしたら、

1ミリも脳を使わなくていいので、ラクである。

 

それゆえ、こういった指導の先生は好かれる。

もちろん学力は上がらないけど。。

 

 

また、先生の立場から言うと、

生徒に考えさせると、時間配分が狂うので、

全てこちらで解説してしまう。ということがよく起きる。

 

個別指導の場合、1:2や1:3が主流なので、

同時に複数人の生徒の相手をしないといけない。

均等に時間を使わないとクレームに繋がるので、

なるべく生徒に考えさせない場合が多い。

 

 

長考されてしまって、

答えるまでに3分とかかかってしまうと、

他の生徒の相手ができなくなってしまう。

だから悩む前に答えを教える。という方法になるのだ。

 

 

でも、本当はこの悩む時間こそ大事なんだけどね。

 

 

続いてのツッコミどころはこちら。

「先生:次に〜できるだからcanが来るでしょ。」

 

元々の問題文は「私はピアノが弾けます」である。

どこにも〜できるという表現はない。

このような脳内変換を勝手に行なってしまうと、

生徒は自分で対応できなくなる。

 

 

たとえば、

「先生:ピアノが弾けるってことは、言い換えるとどういうこと?」

「生徒:うーんとね、ピアノを弾くことができる」ってとかな?」

のように

生徒自身に変換をさせるような指導方法は良いと思うが、

それもせず、先生が勝手に変換すると、

生徒は類題すら解けるようにはならないだろう。

 

 

ちなみに、教えている側も

この指導方法だと学力は伸びないだろうなぁ。

というのは分かっている。

 

 

じゃあなぜその方法で指導するか?

 

 

それはシンプルで、

最も儲かる方法だからである。

言い換えれば、この指導方法は生徒が最も辞めない。

 

 

個別指導塾にくる生徒は

大半が勉強の苦手な生徒である。

 

 

そして勉強の苦手な生徒は往々にして

面倒なことへの耐性を持っていない。

 

 

だから、自分で考えるなんて面倒なことをさせたら、

すぐに「先生の教え方がわかりにくいから塾やめる」

となってしまう。

 

 

辞めたら売り上げが落ちる。

売り上げが落ちたら、

担当の先生は塾長からいろいろと言われる。

 

 

それぞれの人にそれぞれの思惑があり、

結局「学力向上にはならないけど、生徒には好まれる指導」

になってしまう。

 

 

私が個別指導塾で働いていた時、

エリアマネージャーに言われたことがある。

それは

「成績はどうでもいい。塾に行きたい!と思う授業だけをしてくれ!そうすれば生徒は辞めない。」

 

これは名言(迷言)だと今でも思っている。

 

 

教育の立場で言えば迷言だと思う。

でも

儲けの立場で言えば名言である。

 

 

個別指導塾で働いていて気づいたことは

成績が落ちても、生徒は全然辞めない。

むしろ、友達をどんどん連れてこようとする。

 

 

塾に行きたい!と思うような授業とは、

具体的には、生徒に考えさせない答えを教える授業である。

そうすれば、生徒は「うん」と言っているだけでいい。

あとはたまに雑談をして、仲良くなる。

 

 

こういうことを徹底的に行えば、

生徒は塾って楽しいなぁ。と思ってくれる。

 

 

親御さんも成績が伸びていない我が子のことは気になるけど、

本人が楽しいと言っているから。

という理由だけでずっと続けてくれる。

 

 

あっちなみに、

この指導方法が合うのは勉強の苦手な生徒のみ。

 

たまに個別指導塾にも勉強の得意な生徒が来るけど、

そういった生徒は、自分で考えたいタイプなので

このような指導方法をすると、

「通っていても意味ないから辞める」と

すぐに辞めてしまう。

まぁでもほとんど来ないからあまり気にしなくてもいい。

 

 

ということで、

勉強の苦手な生徒にはそれなりの接し方がある。

・厳しく叱ったりするのはダメ

・生徒に考えさせる指導はダメ

・宿題をやってこなくても怒ったらダメ

・親御さんの要求には必ずYesと言わないとダメ

 

徹底的に甘やかせる指導が最も儲かる。

こういったことをたくさんエリアマネージャーから教わった。

 

 

さて問題は、

こういう子たちは大人になるとどうなるのか?

塾は生徒がお客さんだから甘やかしてもいい。

別にお金を払ってくれるからね。

 

 

でも、新卒で働き始めたら話は違う。

会社は従業員がお客さんなわけではないから、

給料分の仕事をしてもらわないといけない。

 

 

現実は甘くない。

小中学生の頃に、甘く育てられても、

働いた会社の上司は甘くない。

 

ガミガミ言ってくるかもしれないし、

最近の若者は!みたいに言ってくるかもしれない。

 

 

最近よく新卒の社会人が辞める。

みたいなニュースを見るけど、

これまで甘やかされていた環境が

ガラリと社会人になって変わったら、そりゃもう辞めるだろう。

 

 

これは上司側も悩んでいることなのだそうだ。

少し注意しただけで、すぐに病んでしまったりとかね。

働いて数ヶ月で辞める新卒社員など。

 

 

自律せず、仕事もできずに

親の収入だけを頼りに生きていくのか。

 

 

いろいろな価値観があるけど、

私はあまりそれは良くないと思う。

いわゆる「こどおじ」と呼ばれるものだ。

 

 

甘く育てられて、

その後の人生もその調子で乗り切れるならいいけど、

仕事をし始めたらいっぱい苦労はあると思うんだよなぁ。

 

 

別に理不尽なことにはNo!と言えばいいと思うけど、

自分が遅刻して、怒られて、それで会社を辞めるってのは

あまりにも耐性が無さすぎると思う。

 

 

今、結局OKUNO塾では

個別指導塾の指導方法と真逆のスタイルになっている。

 

宿題もたくさんでるし、毎日チェックもあるし。

授業でも生徒に考えさせることばかりである。

 

 

だから低学力の生徒から抜けていく。

これはもうしょうがない。

自分で考えたくないタイプの生徒には

絶対合わないからね。

 

 

ただ、自律していくためには

こういったプロセスがどこかで必要だと思うんだよなぁ。